福井市鑓噛山城について

鑓噛山城近景(北から)鑓噛山城近景(北から)
3月29日(金)午後から福井市の西部、西安居地区にある福井市スポーツ公園に隣接して聳える鑓噛山城を踏査しました。天気予報は午後から晴れる、ということでしたので、それを信じて山登りに出かけたのですが、午後は冷たい北風の吹く、うすら寒い一日でした。
それでもやはりもう春なんですね、身にしみるほどの寒さでもなくて、あとには風の冷たさも忘れて、鑓噛山城の踏査を無事やり終えてきました。

鑓噛山城とは旧清水町清水集落の背後の丘陵頂部に所在する山城です。標高は114mです。『越前国城跡考』には「安田村の南方山上」と記されています。朝倉氏の家臣村野源五郎の子孫が代々居城したといわれています。それ以外、詳細はほとんど不明です。
平成7年から11年まで5年間発掘調査が行われました。調査地区は城跡の中心部より北に寄ったところで、この場所が公共工事による開発の対象地となったため、事前調査が実施されました。

調査の結果は山城に伴う溝や土橋状遺構とともに弥生時代末頃の住居跡が見つかり、中世山城との複合遺跡であることが分かりました。城跡の範囲は、「城山」と言われる山頂部から北に延びる尾根線に沿って、安田集落に近い丘陵までを含んでいるものと考えられます。
ただ、『福井県の中・近世城館跡』などでは「城山」の部分しか遺構は記されず、詳細はよく分かりません。
福井市教育委員会がこの山城の発掘調査に先立って分布調査を実施し、鑓噛山城の遺構の全体概要を福井県埋蔵文化財調査センターが発行した『第11回発掘調査報告会資料』に報告、掲載しています。
鑓噛山城主郭部と石碑鑓噛山城主郭部にある石碑
発掘の結果、中世山城の遺構として、土橋状の遺構や竪堀が確認されたというので山城の研究者には注目されているようで、つい先日も県外の人からメールで、この遺跡の発掘調査報告書はもう刊行されたのか、という質問を受けました。
残念ながらまだのようですが、そのことがきっかけになって、発掘で確認された「竪堀」というものが主郭部の周辺にはないのかどうか、気に懸かっていましたので、今回あえて登城することにした次第です。

踏査の結果は「城山」を含む城域の南側半分だけでしたが、いわゆる竪堀は見つかりませんでした。もちろん畝状竪堀もありませんでした。意図した成果は得られませんでしたが、植栽や石碑の造営のためにかなり主郭の部分が荒らされているような印象を受けました。
地元の人たちによる城山の整備は大歓迎ですが、その結果、遺構が壊されることになるのは感心できません。山頂部の整備はやはり教育委員会の指導を受けてやったほうがいいと思います。
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