一乗谷の心象風景

北野武男写真集第2冊
福井出身の風景写真家、北野武男さんが一乗谷の写真集を出版された。2冊目です。
一乗谷の切手になったときも感激しましたが、今回も素晴らしい写真の数々で、一枚、一枚の写真が心に迫ってくるものがあってとても印象的でした。

何人もの方が、これまで一乗谷に関心を持たれて、その情景を写真に撮られたことがありました。それらはどれもが、覚えている限りではみな素晴らしい写真で、一乗谷の何とも言えない憂愁の佇まいがうまく切りとられていて、展示会場の写真の前に立つと心が騒いだものでした。

今回の北野さんの写真は、前回もそうでしたが、どっしりと一乗谷に腰を据えられて、地元に住んでいる人が、こんなふうに写真を撮ってみたいと思うような写真を上手に代弁して撮っている、という感じがします。だから、何気ない一枚にとても惹きつけられてしまうのですね。

他の写真もみなそうですが、中で一例を挙げると、12月義景館、というサブタイトルがついた一枚の写真。朝倉館の土塁の上を小サギが白い翼を広げて、低い姿勢で飛んでいるところを撮っています。12月ですから、恐らく曇り空で、うす暗い景色の中で真っ白なサギが飛んでいる…。

これはとても印象的な風景です。観ている人もきっと「ア、サギやね―」と指さして眺めてしまったことでしょう。

ずっと昔はこんな風景は見られませんでした。一乗谷がまだ整備されずに水田が残っていた昔から、この周辺にアオサギや小サギが飛んでくる、ということは恐らくなかったことでしょう。きつい農薬を使って米の収穫を競っていた時代には、田んぼや小川はどんどんメダカやフナがいなくなって…。

そして10年前の福井豪雨。足羽川はズタズタになって、周辺の村々も大被害に遭った。
しかし、今ではきれいに復興がなされて、昔の落ち着きを取り戻しました。

朝倉館の小サギの写真は、地元の人にそんな移り変わりを一瞬に思い出させてくれる一枚になるだろうと思います。
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COMMENT 2

闘将!刑部  2016, 02. 20 [Sat] 11:44

Re:一乗谷の心象風景

最近の新聞に、この北野さんの第2集写真集の記事が載っていましたね。
第1集の写真集を拝見させて頂くと、長閑で穏やかな素朴なものもありますが、本当にこれが一乗谷の場面かと思わされるような神秘的なと言いますか我々がまなこで見ている風景とは違う幻想的なものもありました。
反対に無常感といったものも含まれていたように思います。
同じ場所であっても、時期や赴く人の気持ちによって一乗谷の姿というものが変容されて映り、様々な姿として出迎えてくれるところだということなのでしょうか。
見直し見るたびに感嘆させられる作品だと思います。

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城歩きマン  2016, 02. 23 [Tue] 20:46

No title

闘将!刑部さん、コメントありがとうございます。

北野さんの一乗谷の写真は本当に素晴らしいですね。

今度は勝山の平泉寺に挑戦されるそうですが、とても期待していて、今からワクワクしています。

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