南越前町上別所「茶臼山城跡」の踏査

南越前町上別所茶臼山城跡踏査2017年1月6日ブログ  (3)日野川右岸から茶臼山城跡を望む
平成29年1月6日(金)、このところの陽気に惹かれて、つい、出かけてしまいました。場所は南越前町(旧南条町)上別所の茶臼山城跡です。


『福井県の中・近世城館跡』には日野川をはさんで対岸の小さな尾根線上に築かれた山城で、主郭のまわりにいく筋かの竪堀が穿たれている図が掲載されています。日野川より西側にある畝状竪堀の山城としては最も南端に位置するものでしょうか――。
とても興味を惹かれます。一度登ってみないことには…。むかし杣山城跡の調査に来るたびに、この茶臼山城や八王子城、大塩城や黒川城のことが気にかかっていました。
南越前町上別所茶臼山城跡踏査2017年1月6日ブログ (4)日野川にそそぐ用水から杣山城跡を望む
今回の栃川尉ヶ峰城(実は茶臼山城)の一件もあって、ついでに登ってみようと思い立ち、この6日(金)に車を走らせて南越前町へ。

南越前町上別所茶臼山城跡踏査2017年1月6日ブログ (5)越前富士と言われる日野山(南から)
茶臼山城は『越前国城跡考』では城主が新田義貞とあり、別名茶磨山城ともいう、と記されています。また『日本城郭全集 福井県』では「村誌」からということで源頼親の家臣の佐藤帯刀が在城したと記しています。伝承ですから、それっきりですが源頼親は多田満仲の次男だそうで、「越前奉行」を務めたと言います。多田満仲は摂津の豪族ですが各地の国司を歴任しており、一時越前守を務めたこともあって、その息が越前奉行を務めた、というのもなにやら曰くありげな話ですが、真偽のほどは…。
南越前町上別所茶臼山城跡踏査2017年1月6日ブログ (6)上別所白山神社の鳥居と階段
新田義貞の場合は、杣山城の出城として築かれたようで、その話にはやや信憑性もあるのですが、肝心の城跡の遺構についてはどうでしょうか?

日野川の左岸、標高174m(比高差約90m)の小丘陵の尾根上にあって、山麓部には白山神社が鎮座しています。
山城の遺構はこの神社の裏山といったところで、左右の斜面は切り立っていて急勾配となっています。ものの10分も登ったでしょうか、杉林が途切れて開けた山頂部が見えてきました。大きな樹木こそありませんが灌木類が密集していて、冬でも見通しが利きません。山頂部本丸の様子は殆ど観察不能です。小さな段があるのが漸う確認できただけです。

南越前町上別所茶臼山城跡踏査2017年1月6日ブログ (7)神社の脇にある城跡の石碑と見学路
その一段下の腰曲輪と思しき狭い平坦部を右に迂回しながら歩き始めたところ、さっそく畝状竪堀が腰曲輪を、まさに寸断するように穿たれているのが確認されました。
登城路から見て右の腰曲輪です。左側は急傾斜となっていて腰曲輪はありません。ただ、登城路のすぐ脇では一条の竪堀が確認できました。
南越前町上別所茶臼山城跡踏査2017年1月6日ブログ (8)見学路の階段とその先の頂上部
畝状竪堀は計7条ありました。いずれも長さ約7,8mの規模でしょうか。幅は1m前後です。この畝状竪堀の刻まれた腰曲輪と山頂部との間に小さな段曲輪が北側斜面に確認されます。

南越前町上別所茶臼山城跡踏査2017年1月6日ブログ (9)
本丸の奥の西側には二条の堀切が刻まれています。手前の堀切と本丸との間は北側斜面が緩やかな傾斜地になっていて、いくつかの段曲輪がみられます。このあたりは地元の手入れが入っているのでしょうか、きれいに草刈がされていて、下草や灌木もなく、広場のような状態になっています。
南越前町上別所茶臼山城跡踏査2017年1月6日ブログ (2)搦め手側(西)の堀切
山頂部からの眺望は前述したように灌木類のためによく見えません。辛うじて杣山城を見透かすことができましたが、折角の山城、入口には立派な石碑まで立てているのに、頂上部がこの態では逆効果です。

南越前町上別所茶臼山城跡踏査2017年1月6日ブログ (10)本丸部の北側斜面、堀切と土塁状高まり
マ、それはともかく茶臼山城の畝状竪堀は東側から北側に向かう本丸部分直下の斜面、腰曲輪やその先の段曲輪からの敵の侵入を防ぐために刻まれたものと思われます。
搦め手にあたる西側尾根線には二条の堀切を刻んで守りを確保し、東の大手口から北側にかけてはこの畝状竪堀を刻んで防御ラインとした構造となっています。

南越前町上別所茶臼山城跡踏査2017年1月6日ブログ (11)本丸北側斜面の腰曲輪
南越前町上別所茶臼山城跡踏査2017年1月6日ブログ (1)西側堀切から本丸部を望む
もともとあった山城をどの時点で、どこを防禦するために修築して畝状竪堀などを刻んだのか、記録や伝承もなく、新田義貞のこと以外はトンと不明です。しかし、この山城の最終時点はやはり戦国末のころとみて差し支えないように思われます。
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