県別の城郭ガイドブックについて

最近、県別の城郭ガイドブックがアチコチの県から発刊されるようになりました。
例えば、『近江の山城ベスト50を歩く』、滋賀県の山城を選りすぐって50ヵ所を紹介したA5判サイズの一般向けのガイドブックです。
これはシリーズ化されて『岐阜県の――』、『愛知県の――』、『静岡県の――』といった具合に現在、三重県、長野県の分まで発刊されています。

また、地域をブロックに分けて、その中から各県の城郭を紹介する『近畿の城郭Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ』といった近畿ブロック6県の城郭を紹介したもの、あるいは『関東の名城を歩く』が北関東と南関東のブロックに分けて8県分を2分冊して紹介したもの、これもシリーズ化されて『甲信越の名城を歩く』や『近畿の名城を歩く』といった地域のものが編纂され始めています。

ぐんまの城30選
単発ものでは、地方の新聞社が刊行している『ぐんまの城30選』や『静岡県の歩ける城70選』といったものがあります。

こういった刊行ブームはいましばらく続くものと思われ、各県の城郭研究者が知恵を絞って、いくつかの城郭を選定し、読者が興味を引きそうな内容で各城郭を紹介しようとアイデアを出し合っています。
それはそれで、城郭を知りたい、見たいと思っている読者にはありがたい話です。重宝する一冊を手元において…、と言えるような本を城歩きマンも作りたいと切に思う今日この頃です。

単発もので先に紹介した『ぐんまの城30選』などは、城歩きマンが見て、とても意表を突くものになっています。少し内容を紹介しましょう。

はじめに、の項では他の県の山城紹介本を念頭に置いて、同じような内容になるのを避けたいという意図を表明されています。
また、昨年NHK大河ドラマで真田幸村(信繁)が取り上げられたことで、群馬県が追い風を受けた、という意味のことにも触れています。

しかし、もっと言いたいことは著者が他の県のとの区別を意識して、かなり選別基準を恣意的に絞った、ということがあります。30カ所。これは従前のものでは一番数が少ない。
この意味で、初心者向けのガイドブックにはなっていないと思われ、福井県の場合はお手本にはならないということです。
なにせ、福井県にはこの種のガイドブックがひとつもないのですから、最初に出すのは誰でも気軽に手にとって読めるようなお手軽なものにしなければ…、と思うのです。

静岡県のあるける山城
次に静岡県のものを紹介しますと、著者はこれまでいくつもの山城に関する本を手がけたベテランの研究者で、静岡県ではこれまでにもいくつも山城関連の書物が出版されていますので、これも福井県とは条件が違います。

著者はタイトルにもありますように、「歩ける…」と銘打って70ヵ所の山城や城郭を紹介しています。70ヵ所というのは他のガイドブックに50,100といった数字が使われているので、そうした本との区別を意識したものでしょう。

それぞれの山城や城郭の遺構図や遠景、要所の写真をふんだんに使って、全頁カラー刷り、というぜいたくな体裁です。各山城への見学に持ち歩きするというより、書斎でじっくり読み込むための本になっているかな、と思われる本です。

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もう4年前になりますが、島根県で刊行された『出雲の山城』という本は、総ページ300を超える大冊のガイドブックで、初心者向けというより、もう立派に専門家向けの書物になっているものと思われます。
著者が一般向けに手軽に出雲の山城を知ることができるように、との思いから編集、出版を思い立ったと言っていますが、かなり専門的な内容になっているのは否めません。
この点は判断が難しいことでもあり、一概にどうこう言えるものでもありません。読者の判断にゆだねる、といったことになるのでしょう。

最後にもう一つご紹介する本があります。
これはいま取り上げたA5判のハンディタイプのものではありませんが、滋賀県教育委員会が10年も前に出版した『近江城郭探訪――合戦の舞台を歩く』という書物です。大きさはB5判です。

近江の城郭探訪
現地へ持ち歩く本ではなく、これも書斎で想像しながら山城めぐりを楽しむ、といった嗜好の本に仕上がっています。城歩きマンもたいへん重宝しています。
滋賀県、という土地柄を最大限に利用して、多くの合戦の舞台となった場所を見学コースに取り入れて関連する山城や城館を巧みに紹介しています。見学のコース図もとても念入りに作られていて読み易くなっています。

これに現地向けのハンディタイプのものができれば完璧、パーフェクションでしょう。
福井県でも、こうした山城のガイドブックが一日も早く刊行されることを願ってやみません。
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