『織豊系城郭とは何か―その成果と課題』刊行に寄せて

織豊系城郭とは何か
つい最近、ひと月前のことですが、私たち城好きの人間にとっては、手引書ともいえる素晴らしい書物が刊行されました。
サンライズ出版社という滋賀県の本屋さんから出された本で、総ページ400頁にも達する大冊です。

編集を担当したのは「城郭談話会」という、関西の研究者でつくっている団体で結成30年を記念しての刊行だそうです。そして、この本のタイトルにもなっている「織豊系城郭」とは、読んで字のごとく、織田、豊臣勢力によって築かれた城郭をさし、いくつかの築城に関する織豊勢力の特徴を捉えて名付けられたように思われます。

例えば、城の曲輪を土塁で囲い、入口には食違いの土塁、枡形虎口を作り出し敵の攻撃を巧みに防ぐ築城技法、また山城の曲輪に設けられた礎石建物には瓦が用いられ、曲輪には石垣が築かれる…、といった明確な特徴をもつ。

この織豊系城郭の概念が城郭研究に取り込まれ、中世、戦国時代の築城に関する研究の指標、あるいは築城史のリーディングヒッターになってから久しい時が流れました。

巻頭言にも書かれていますように、この織豊系城郭についてどの程度研究が進化したか、を検証する機会としてこの本の刊行が企画され、実行されたと言います。そもそも織豊系城郭とはどんな城郭をさすのか、といった根本的な問いを発し、その意味、内容について考えるというのが本書のねらいとなっています。

私たち、門前の城好き人間にとっては垂涎の好書になっていくだろうと思います。先日、ふとした機会でこの書を購入できました。そして早速、中を開いて読み始めましたが、城歩きマンはM先生の書かれた一文にくぎ付けになりました。

読書感想文をものしようというなら、何はさておいても終わりまで読んでからになります。しかし、とても時間がかかりそうです。皆さんの140篇にも及ぶ論稿を簡単には読み終えられません。
時間をかけて読ませていただく覚悟ですが、最初のM先生のところでとても大きなインパクトを与えられましたので、取敢えず忘備録としてしたためようと思いたちました。

M先生は何を書かれていたか、それはM先生の筆致で端的、明快に織豊系城郭研究史を紹介されていて、その中で、何と朝倉氏の築城に関するお考えを付け加えられていたことでした。
以前から提唱されていた朝倉氏の築城技術と織豊系城郭との関係性については、多少は聞き覚えがありましたが、再び織豊系の築城技術に先行する先進的な築城技法を有するものとしてはっきりと位置付けられています。

近江に展開された浅井・朝倉連合軍による対織田勢における築城技術のいろいろを、M先生たちがいよいよまとめの段階にまで高めようとされていて、とても緊張させられました。
どう受け止めるべきか、朝倉氏の築城技術とは如何なるものか?もう一度考え直す段階に入ったのか?

M先生たちの意見に真っ向から反対を表明する人の論稿もないわけではありませんが、門前の小僧に過ぎない城歩きマンは、ただどうしていいかわからず、ウロウロするばかり…。
きっと、この問題はどこかで「けじめ」をつけていく必要があります。福井県内の、これまでの朝倉氏の城郭に対する認識との間のとても大きなヒアタスをどう解消するか――。

問題が、少しずつですが、焦点を結びつつあることを実感しています。
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