坂井市河上城跡―地域おこしと城山巡り(28)

編集_坂井市丸岡町河上城跡の踏査 004河上城跡遠景(集落側から)
河上城は前項の上野山城でも述べましたように、南北に隣り合った位置に並ぶ山城で、別名青谷城とも言います。河上城は竹田へ向かう谷道の入口を扼する位置にあって、重要な見張台の役割をもたされた城砦跡だと思われます。
本城跡については、2017年3月26日の「河上城跡の踏査」でもアップしていますので、ご参照ください。

プロフィール
本城は「越前国城跡考」では時代不知の居館跡とし、「河上村ヨリ五町計艮方山上、十二、三間四方之所」とあります。
居館跡とは、おそらく現地踏査した感想からすると、山城遺構のある尾根上ではなく、その下のやや平坦な杉林の場所を指すものと思われます。確かに本文中の「遺構模式図」にも示しましたように、林道と集落との間に挟まれた、裾部に近い場所になだらかな平坦地が広がっています。「城跡考」はこの平坦地を居館跡と見立てたのでしょうか?

編集_坂井市丸岡町河上城跡の踏査 008尾根上にある堀切
しかし河上城は居館跡ではなく、れっきとした山城遺構です。尾根上に約150mにわたって築かれた細長い曲輪があり、その南面する斜面にほぼ同じ長さで堀・土塁を設(しつら)えたものと思われるのです。
土塁は堀底からの比高差が約1.2mほどとそんなに深くはありませんが、遺存度は大変良好で、きれいな薬研堀を呈しています。土塁も大きな崩れはありません。ほぼ直線的に南西方向に延びて、西に折れ曲がって、竪堀となって北側斜面に切れ落ちています。

現状はこの南西隅の虎口部分に大きな林道による掘削が入っており、後山地区の東山集落側から上がってきて、尾根上の主曲輪に向かっています。林道はその主曲輪の中央部堀切の手前付近で止まっています。
主曲輪の遺構や堀・土塁の下段に、現在林道が通されている平坦地一帯を地均しして兵溜り部分を設けていたものと判断されます。詳しく踏査しなければ詳細は分かりませんが、これ以外に山城遺構が築かれた形跡は確認できませんでした。
下位の平坦面と併せて、急場造りで設えられた砦跡か、と思われます。今後さらなる踏査によって詳細が明らかになるものと期待されます。

河上城跡遺構模式図3河上城遺構模式図(周辺の踏査は未終了、今後継続踏査の要あり)
一押しのスポット
繰り返しになりますが、河上城は、隣りの上野山城と同じく、近年、杉植林のために南側斜面に林道を掘削し、苗木を植える準備が行われています。どの範囲まで植林が行われるのかは、城歩きマンたちには全く知る余地はありません。
しかし、確実に河上城は破壊の危機に直面しています。ここを管轄する自治体は坂井市丸岡支所(旧丸岡町)です。丸岡支所はつい最近にも、豊原寺の遺跡内が林道開発でズタズタに破壊された経緯があります。

大きく新聞報道されてからまだ日数が経っていません。豊原寺はかつて県指定を目指して遺構確認調査がなされたほどの遺跡です。平泉寺と同様、越前における中世山岳寺院のひとつでもあり、周知の大寺院跡です。
それに比べて、河上城は遺跡地図に記載されているだけの周知の遺跡にすぎません。だからと言って粗末に扱われてもよい、という理屈は成り立ちません。上野山城跡と同様、この地の中世から近世に至る歴史を雄弁に物語ってくれる貴重な文化遺産であることには変わりありません。上野山城跡と共に植林事業などで、むやみに削られ、闇に葬られることだけは何としても避けたいと思うのですが、これは無い無いねだりになるのでしょうか?

アクセス
河上城へは、前述の上野山城跡と同様、京福バスの丸岡バスターミナルで竹田線に乗車し、川上で下車して、徒歩で林道を進みます。麓にある白山神社の周囲は、近年どこでも見られるようになりましたが、イノシシやシカ除けの鉄線網が張られて、気軽には山中に入れないようになっています。柵の出入り口を探して、そこから入るようにしましょう。1m~1.5mほどの高さがある鉄線の網をまたぐのはかなり難しいです。

北陸高速道路わきにある農業用ため池2(本文中の遺構模式図参照)の横から上野山城跡へ向かう谷道からと、河上城跡の麓下、白山神社横から林道にアクセスすることもできます。いずれも上野山城跡でも指摘しましたが、未舗装の林道はすぐに灌木が生えて、道が分かりにくくなります。ご注意ください。
自家用車で現地へ向かう場合は、川上集落のふれあい会館で許可をもらって、その駐車場に停めて登城するようにしましょう。2、3台ほどのスペースがあります。

補足
※上野山城跡の項でも添書きしましたが、河上城跡もちゃんとした見学路はなく、高速道路わきのため池2(遺構模式図参照)からの林道を辿ったものです。
私有地ということもあり、入山する場合は地元の方に目的を告げて、了解の上で登城するようにしてください。また、クマが出没する夏場の朝・夕方の時間帯は絶対に入山しないようにしましょう。
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